若者が上の世代の若い頃に比べて淡白に思える原因は、まず「性欲そのものが減退している」ことが仮説その1。そして仮説その2として、「性欲をなりふり構わず振りかざす人が減った」をここで提唱したい。

 仮説その2だが、これには「世間的にかっこいいとされているもの」の変遷によるところが大きい。

 例えば“浮気は男の甲斐(かい)性”という、いつの時代から使われているのかは知らないがこの国に伝わる言葉がある。この言葉が当たり前のように使われていた時代では違和感なく、むしろ本質を言い表した言葉であるからこそ慣用句のごとき存在感を放っていたのであろうが、現代日本において“浮気は男の甲斐性”と真面目な顔をして言い切ったら、おそらく結構な確率でたたかれる。この言説が説得力を失い共感を得にくくなってきているからであり、浮気=女遊びが表立って正当化されにくい時代の空気が流れている。

“喫煙”の変遷に似ている。「かっこいいもの・当たり前なこと」が「忌むべき・恥ずかしいこと」へと認識のされ方を変えていった“喫煙”だが、これと似たことが“女遊び”にも起こっているのではあるまいか。

 世間の空気が良しとしていないものを率先してやる人はよくいえば好事家であり、すなわち少数派である。この割合が「若者の性欲の低下」として認められるようになった一因となっているのではないか。

 今回紹介した20代の若者3人は、「性欲はあるけど不特定多数との性交渉を望まない」という点が共通していた。上の世代にも同様のスタンスでいた人は少なくなかったであろうから世代間の違いを見つけるのは難しいが、BさんとCさんが「扇情的な動画は率先して見る」と言いきっていた点にも着目したい。

 成人男性向け動画の発達は全世代の男性のニーズがあればこそで、男性全体の性欲の総量は衰えるどころか増しているとも考えられるが、成人男性向け動画自体がそのはけ口・受け皿となって、いわばそこで性欲は完結してしまっていて、「それ以外に向けるほどの性欲は残っていません」となっている可能性も考えられる。

 いずれにせよ「若者世代の性欲が低下している」と言い切るには、まだ観察と考察を重ねていく必要がありそうである。