サウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ氏がイスタンブールのサウジ総領事館に入ったあと行方不明になった事件から、まだわずかに2週間と数日が経過しただけだ。しかし、その影響が中東の勢力図を大きく塗り替え、この地域における米国の影響力をそいだことは既に明らかだろう。トルコの当局者によれば、カショギ氏は10月2日に総領事館に入った直後に殺害され、ばらばらに切断された。その報道は世界中で嫌悪感を引き起こし、サウジに対する広範な非難につながった。サウジ側はカショギ氏が2日に領事館を無事に出たとしているが、その証拠を一切示していない。これまでのところ地政学的に最大の打撃を受けているのは、米国とサウジの戦略的同盟関係の安定だ。これにより、中東の盟主たらんとするサウジの計画と、米国とサウジによるイラン封じ込めの取り組みは後退することになる。同時にイスラエルの戦略的利益も損なわれた。
記者殺害疑惑で一変する中東のパワーバランス
カショギ氏失踪事件の勝者はトルコとイラン、敗者は米国・サウジとイスラエル
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