新旧メディアの「年収格差」、デジタル記者がエリートになれない理由 Gary Waters/gettyimages

テクノロジーの進化でさらなる激変期に突入したメディア業界の最前線を追う本連載。メディア業界では今、レガシーからデジタルへの人材流出が起こり始め、メディア業界の序列崩壊を示唆する一例として注目されました。しかし、だからといって新旧の序列がすぐに逆転するわけではありません。そこには消えない待遇格差があるのです。本連載第10回では、『週刊ダイヤモンド』10月27日号の特集「メディアの新序列」でも掲載した、新旧メディアの待遇格差についての記事をダイヤモンド・オンラインで特別公開します。

 メディア業界は“待遇序列”が明確だ。民放キー局では、30代で年収1500万円以上もあり得たし、「日本経済新聞」と「朝日新聞」の記者職も、30代前半でほぼ1000万円に達するとされてきた。

 朝日は賃金カットが進んでいるとはいえ、経営が危険水域に入ってきた「毎日新聞」や「産経新聞」と比べると、同業種とは思えないほどの格差がある。

 ちなみに同じ記者職でも本社か地方支局か、さらに本社編集局内でも多忙を極める社会部警視庁担当と、比較的時間に余裕がある文化部などでは、みなし残業代に大きな差が出る。

 結果として同期入社でも実際の年収は大きく異なる。さらに、記者職と本社管理系の職種の間でもみなし残業代に差がつく傾向にある。もちろん多いのは記者職だ。

 さらに、業績不振を受けてほぼ全ての大手レガシーメディアで給与水準の見直しが進んでおり、入社年次によって手取りが明らかに違うという事態になっている。