米ペンシルベニア州ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で28日に起きた銃乱射事件は、米国における現在の政治的分断をあおっているものよりもはるかに激烈で古くから続く人間の憎悪があることを、恐ろしい形で思い知らせるものとなった。ユダヤ教の安息日にあたる日曜日の朝に11人を殺害した容疑者は、ユダヤ人への殺意を持った反ユダヤ主義者だった。「全てのユダヤ人に死を」。ロバート・バウアーズ容疑者は礼拝所に突入し、発砲する際、こう叫んでいたという。米紙ニューヨーク・サンが社説で指摘しているように、反ユダヤ主義はユダヤ人の言動やユダヤ人移民への援助、イスラエルへの支援に向けられたものではない。バウアーズ容疑者は単にユダヤ人を憎んでいた。