2019年は中華人民共和国建国70周年、2020年は全面的に小康社会(少しゆとりのある社会)を実現する1年(筆者注:中国政府は2010年と比べて、2020年にGDPおよび1人あたりGDPを倍増させるという計画を立ててきた)、2021年は中国共産党結党100周年に当たる。

 筆者の観察と理解によれば、政治の季節を迎える中国共産党はまず内政的に保守的になる傾向が強い。

 政治的なプロパガンダが四六時中横行し、中国共産党がいかに偉大であるかが強調され、ナショナリズムが蔓延する。そのプロセスは安定第一という絶対原則の中で推進される。

 故に、政治的な引き締めが強化され、多元的、開放的な報道や言論が規制される。例えば、2008年の北京五輪前、中国ではツイッター、フェイスブック、ユーチューブの閲覧が禁止され、今に至っている。

 世論環境が共産党のプロパガンダ一色と化し、自由で多様な報道や言論が制限される環境は、日中関係の安定と発展にとっても不安要素であろう。

 中国政府が対日世論を上から締め付け“一本化”したほうが日中関係の安定には有利に働くという類いの主張も一部あるが、筆者はこの考えには全くくみしない。両国間で多様な意見が自由に往来し、ダイナミックな民間世論が形成される環境こそが長期的に両国間系の発展を担保するものだと考える。

 そして、“国家大事”が続き、内政が保守化し、引き締め策が横行する状況下で、対外政策が拡張的・強硬的になる傾向もまた歴史的に見いだせる。

 中国で“核心的利益”(筆者注:2011年9月国務院が発表した《中国平和的発展》白書によれば、中国の核心的利益は〈1〉国家主権、〈2〉国家安全、〈3〉領土保全、〈4〉国家統一、〈5〉中国の憲法が確立した国家政治制度と社会大局の安定、〈6〉経済社会の持続可能な発展の基本的保障から成る)が主張され、国際社会がそれを警戒し始めたとき、中国はまさに政治の季節にあった。

 2008年北京五輪、2009年建国60周年、2010年上海万博の頃のことである。

(国際コラムニスト 加藤嘉一)