仮想通貨の規制強化に傾き始めた金融庁。新規参入をもくろむ業者との緊張関係が新たなリスクを生み出し、いつか来た道をたどることになるのだろうか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平、中村正毅)
「気持ちを折られた業者は多かったに違いないですよ」。金融庁が10月に公表した仮想通貨交換業者の登録審査に関するプロセス。その細目を見て、登録申請中のある業者幹部はそう吐露した。
83ページにわたる「仮想通貨交換業者の登録審査に係る質問票」からは、金融庁が各業者の事業計画や内部管理体制、マネーロンダリング(資金洗浄)対策などを隅々までチェックしているのが一目瞭然だ。
審査の視点がより明確になった一方で、業者側からするとどの段階まで審査が終わっているかということは一切分からない。「おおかたどの段階にいるのか最低限でもいいから教えてほしい」というかねての不満に対する答えは、公表資料には見当たらなかった。
冒頭の業者幹部は「金融庁が求める経営管理体制の構築には、経営層から経理、コンプライアンス、システムエンジニア、カスタマーサポートやセキュリティーに至るまで多岐にわたる担当者が必要で、50人は要るイメージ。一方で開業時期のめどが立たないと新たに人材を採用するのも難しく、家賃や人件費がかさむばかりで悩む日々だ」と話す。