庭園内神殿 杜乃宮は和婚需要を押し上げたが、婚礼件数の縮小をカバーするには至っていない。
写真提供:藤田観光

 インバウンドの追い風になぜ乗れなかったのか。1~9月の訪日外国人数は前年同期比で10.9%伸びているにもかかわらず、藤田観光は2018年12月期の通期業績を下方修正した。営業利益は期初予想の23億円から9億円となる見通しだ。

 その理由として、平成30年台風21号や北海道胆振東部地震の影響で訪日外国人が減少し、関西エアポートワシントンホテルやホテルグレイスリー札幌のみならず、大阪経由などの旅行需要そのものが減退し、ドル箱のホテル事業の収益力が低下した影響が大きい。日本政府観光局の推計では、9月の訪日外国人数が前年同月比5.3%減の215万9600人、13年1月以来の前年同月割れとなった。

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ホテル椿山荘東京 Photo by Wakako Otsubo

 台風や地震の影響があったことは確かだろう。だが、今回の大幅な下方修正の背景には、同社の大きな二つの誤算がある。売上高の35%を占めるラグジュアリー&バンケット(ホテル椿山荘東京や婚礼など)事業と、同10%を占めるリゾート事業のもくろみ違いだ。

 ラグジュアリー&バンケット事業の誤算は、本格的な和婚を目指して新設したホテル椿山荘東京の庭園内の神殿の工事が遅れたことだ。そのために神殿の話題性にもかかわらず、今年上期の婚礼予約は前年同期並みにとどまった。夏に一部の宴会場の改装を実施し、3カ月前の間際の予約で受注につなげようとしたが、計画通りにはいかなかった。少子化に加え、妊娠を機に結婚を決めた「授かり婚」の増加や節約志向から、披露宴を行わない「なし婚」が増えており、婚礼需要が縮小している影響もある。