東京都渋谷区のトランクホテル渋谷でありながら落ち着いた雰囲気が外国人客に受けている。客室数が少ないぜいたくなホテルとして、差別化を図ろうとしている Photo by Wakako Otsubo

 東京都渋谷区にホテルや不動産業界関係者がこぞって見学に来るホテルがある。2017年5月に開業したトランクホテルだ。明治通りから少し入ったところにあり、渋谷駅から歩いて約10分、平均客室単価約6万円にもかかわらず、稼働率は90%を超える。宿泊客の8割が外国人で、その7割以上が欧米人だという。

 緑に囲まれた地上4階建てのホテルで部屋数は15室。客室、宴会場、レストランを保有するいわゆるフルサービス型だ。ホテルのコンセプトは「ソーシャライジング(自分らしく社会的な目的を持って生活すること)」。社会貢献としてエコにこだわり、部屋には使い捨てのスリッパの代わりにリサイクル素材で作られた黒いサンダルが置かれ、持ち帰ることができる。

 1階のロビーラウンジでは、パソコンを使って仕事をしている人の姿を目にする。スイートルームにはキッチンが付いており、親しい人が集まってホームパーティーができるなど、既存のホテルとは異なる使い方を打ち出している。

 米「フォーブス」誌など海外のメディアに紹介されたことから、欧米人客の獲得につながった。アジア太平洋地域を対象に革新的なホテルを表彰する「AHEAD Asia 2018」では、ニューコンセプト賞を受賞した。