ドイツ人の「外国観」激変、中国に失望し米国には不安今回の「日独フォーラム」は、このドイツ連邦議会議事堂の会議室で開催された Photo by Izuru Kato

 10月にドイツのベルリンで開催された「第27回日独フォーラム」に参加した。両国の政治家、財界人、ジャーナリストらがベルリンと東京に毎年交互に集まり、政治、経済、文化などを議論して政策提言を行うカンファレンスである。

 セッションの中で今回第一に興味深かったのは、多くのドイツ側参加者の中国への見方が以前と大幅に変化した点である。5年ほど前の彼らは、中国の政治体制の先行きに驚くほど楽観的だった。

 経済発展とともに、中国は自由主義、民主主義の価値観を共有するはず、という声が当時は多かった。中国におけるドイツ企業のビジネスが極めて順調に拡大していたこともそういった楽観論の背景にあったように思われる。

 ところが今回は、「習近平体制の中国は全く異なる方向へ進んでしまった」と、強い失望を表す人がドイツ側で大幅に増えていた。ドイツの財界も、中国マネーはドイツの優良中堅企業を買収して技術を取得しているのに、ドイツ企業が中国企業を買おうとすると中国政府にストップをかけられる、と強いいら立ちを表していた。

 興味深かった第二の点は、国際政治全般に対するドイツ人の強い不安である。ある識者は次のように述べていた。