ドイツのメルケル首相が久し振りに来日して、わが国の各界の指導者と意見交換を行った。わが国とドイツはいくつかの点で共通項がある。明治維新が1868年、ドイツの統一が1870年、また、わが国の明治憲法がドイツ(プロイセン)に範を採ったものであることはよく知られている。
さらに、第2次世界大戦を同盟国として戦い、1945年に共に瓦礫の中で敗戦を迎えた。そして、瓦礫の山の中から両国とも再出発した。ただし、国土を西側陣営と東側陣営に分割して占領されたドイツの方が、条件はより厳しかったように思われる。東西ドイツの再統一はまだ記憶に新しい1990年のことであった。メルケル首相の来日を機に、現在のわが国とドイツの姿を虚心坦懐に比較してみたい。
ドイツの経済規模は日本の4分の3
まずGDPを比べると、ドイツはわが国の4分の3の規模である。人口はわが国の63%、国土の面積は94%である。人口が少ないので、1人当たりのGDPはドイツの方が119%と日本を上回る。豊かな国なのだ。貧困率もわが国の約半分の水準である。
次に労働生産性を見ると、就業者1人当たりではドイツが118%、時間当たりではドイツが145%となる。ドイツの方が、同じ時間働くと、1.5倍ほど生産性が高い。
国民負担率(租税負担率+社会保障負担率)を見ると、日本の41.6%に対してドイツは51.2%と約10%ほど高い。しかし、これに財政赤字部分を加えると、日本が51.9%、ドイツが52.2%と、実はほとんど差がないことがよく分かる。両国とも、市民は国民所得の約半分を実質負担しているのである。