ソフトバンク・グループの孫正義会長兼社長は、自身が主導する「ビジョン・ファンド」の4-9月期決算により、批判的な向きも黙るだろうと考えている。だが、そうはうまくはいかない。確かに、5日発表された1000億ドル(約11兆3000億円)規模近いビジョン・ファンドの決算内容は極めて素晴らしい内容だった。60億ドル規模のソフトバンクの「デルタ・ファンド」もあわせた営業利益は56億ドルに達し、62%の大幅増となったソフトバンク全体の営業利益押し上げに貢献した。インドの電子商取引大手フリップカートの株式20%を米ウォルマートに売却したことで、13億ドルの利益を確保したことは良かった。ビジョン・ファンドはまた、共有オフィス賃貸を手がける米ウィーワーク、およびインドのホテルチェーン運営会社オヨに対する投資の再評価からも多大な恩恵を受けた。ただ、これらの投資利益はある程度、ビジョン・ファンドが自ら演出したものでもある。なぜなら、主にビジョン・ファンドからの数十億ドルに上る出資が、両社のバリュエーションを押し上げているからだ。