ヘンリー・ポールソン氏はゴールドマン・サックス・グループ時代にも、米財務長官としても、政界の長老としても、米国の対中関与政策を強力に支持し、実現させてきた。その点で彼をしのぐ人はほとんどいない。そのポールソン氏が、対中関与は失敗しつつあり、米中間に間もなく「経済的な鉄のカーテン」が下ろされるかもしれないとの結論に達したということは、2大経済大国の関係が非常に危険な状態にあることを示している。ポールソン氏は7日、シンガポールで講演し、中国の振る舞いが米国内で仲間を失う結果を招き、米国民を反中で結束させたと訴えた。米国を厳しく批判することはなかったが、米国は中国にも同盟国にも非現実的な期待をかけているとの見解を示した。米中のいずれも方針転換しなければ「米中関係に長い冬が訪れ」「とてつもなく大きなシステミックリスク」が生じると述べた。