ベッドで横になる高齢男性写真はイメージです Photo:PIXTA

老いた家族と離れて暮らす現役世代にとって、親の看取りは頭の痛い問題だ。連絡が疎遠だったり、親子関係が芳しくなかったりすれば、それは尚更。数多くの患者を見送ってきた緩和ケア医が、子どもが陥りがちな判断ミスと、適切な距離感を教える。※本稿は、医師の岡山容子『毒親を在宅で見送った緩和ケア医が伝える 関係のよくない親を看取るということ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

疎遠だった親の延命処置を
求める子どもたち

 親が長くないと知らされたとき、関係のよくない親だったり、なんとなく距離ができて、しかも遠方住まいのために出向くのが難しかったりすると、「ただ呼ばれたから病院に行っただけ」になってしまうことがあるものです。

 座持ち感の悪さ(病院に行っても親は寝ているだけなので何をしていいかわからない)、自分の役割のあいまいさ(関係が遠かったので何をしていいかわからない)などで、ただあたふたとしているうちに最期の時を迎えることもあります。

 このような場合には、「十分お別れができた」と感じるのが難しくなるのではないかなと思います。

 付き合うのが難しい親であり、「苦手だ」「かかわりたくない」と思っていても、看取りを前にして、遠方から会いに行くと、急に「もっと治療を受けさせないといけないのではないのか!」と思い始める人もいます。

 そして疎遠になっている間にさまざまなことが進んだように感じて、「え?どういうこと?」「聞いてないよ」とイライラしてしまったり、不満がつのったりする人もいます。

 その気持ちもわからないではありません。