健康保険の扶養家族の年収要件は、原則的に年収130万円未満(従業員501人以上の企業で働く扶養家族は106万円未満)だが、60歳以上の人と障害認定を受けている人は180万円未満まで。その金額が、仕送りよりも少ないことが条件となっている。

 企業に雇用されない外国人留学生などは、在留期間が3ヵ月以上見込まれると国保に加入することになっており、所得や家族の人数などに応じた保険料を負担する。

 加入すると、病院や診療所で医療費の3割を負担(70歳未満の場合)するだけで診療を受けられる「療養の給付」、医療費が高額になった場合に負担を抑えられる「高額療養費」、海外の医療機関で治療を受けて自己負担したときに、費用の一部を払い戻してもらえる「海外療養費」、加入者やその扶養家族が出産した場合に子どもひとりにつき42万円(産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合)の「出産育児一時金」などの保障を受けられる。

 勤務先の健保組合に加入する労働者なら、病気やケガで働けなくなった期間の所得保障をしてくれる「傷病手当金」、出産のための働けない期間の所得保障をしてくれる「出産手当金」もあり、国籍に関係なく、これらの保障を平等に受けられるようになっている。

 こうして、日本では自国民だけではなく、長期滞在の外国人も含めて、この国で暮らす人々が病気やケガをしたときの医療保障を行っているわけだが、健保組合も、国保も、みんなが少しずつ継続的に保険料を負担することで成り立っている制度だ。

 特に、国保には多額の税金も投入されている。冒頭で紹介したような、在留資格を偽って来日し、国保を使って医療を受けたら本国に帰ってしまう外国人の利用は、本来の設立趣旨から外れており、厳しく取り締まる必要がある。

 ちなみに、ふだん日本で暮らしていない在外邦人が、ビザの切り替え時期などに日本に帰国し、その間だけ国保に加入して日本で医療を受けている人もいる。ふだん保険料を負担していないのに、国保を利用しているという点では外国人と同じだが、こちらはあまり問題にならない。不適切利用を糾弾するなら、こうした在外邦人にも目を向ける必要があるだろう。

 とはいえ、報道されている外国人をめぐる健康保険問題は、制度に照らし合わせると不適切利用と言えないものが多い。