しかしながら、同じ組織に40年も勤めることになるから、実際には、忠誠を尽くす先は細かく分かれることも多い。会社そのものに忠誠を尽くす人もいるが、その対象が、事業部であったり、特定の社内グループであったり、特定の上司の場合もある。会社が対象でない場合、上司が転職したらついていくとか、会社にまして事業部を優先させるなどという人にもよくお目にかかる。

 自分の忠誠の対象の会社や事業が成功してくれれば、この忠誠は報われるだろう。しかしながら、忠誠の対象が運悪く厳しい状況になれば、自分も一緒に落ち込んでいく可能性も高い。

ただ長く続けているだけでは、
専門知識があっても機械に代わられる

 さて、この「卓越」と「忠誠」は、現在いずれも大きな変化の時を迎えている。

 前述したように、卓越性を求める人の中でも明確な違いを作り出せる人はごく少数である。それ以外の普通に長く続けている「経験則レベル」の卓越性しかもたない人の価値は、データが蓄積されるようになった現在、明らかに低下傾向にあり、今後は、かなりの業務が機械やAIに取って代わられるであろう。

 したがって「卓越」においても、違いを出せる「卓抜な」卓越性を持つ人か、あるいは、他領域の知見を統合していくプロデューサー的な人物が必要とされることになろう。堀江貴文氏の言う「多動力」のように、80点くらいの知識領域を複数持つ、言い換えれば修士レベルの習熟度の専門性を複数領域持つ人が、他領域を束ねて新しい価値を生み出すのである。すなわち卓越の中身が大きく変わるのだ。

 なお、この修士レベルの専門知識をたくさん持ち、領域同士をつなげられる人とは、全く別のことをパラレルにやっているのではなく、ラテン語の素養があればヨーロッパの複数の言語を操ることができるというのと似た形で、基本的なシステム思考や数学的知識を基盤にして、メタレベルで他分野の知識を組み合わせ、統合できる人のことである。 

 いずれにしても単なる領域一筋では、よほどの人でない限り、これからの時代を生きるのは苦しい。