ドナルド・トランプ米大統領は貿易政策で世界を揺るがせる30年前に、後の動きを予見させる新聞の全面広告を打っていた。ニューヨークの不動産デベロッパーだったトランプ氏は「米国の人々へ」と題する書簡に見立てた1987年9月の広告で、「日本やその他の国々は(何年にもわたって)米国を利用してきた」と訴えた。広告には「米国ではなく、これらの豊かな国々に『課税せよ』。私たちの巨額の赤字を止め、私たちの税金を減らすのだ」、「私たちの偉大な国が笑いものにされるのを止めよう」とも書かれていた。トランプ政権発足から2年間、貿易問題はその根幹をなす要素であり、第2次世界大戦後の世界秩序を揺るがせている経済・外交政策の基礎となってきた。同政権は、中国からの年間輸入額5000億ドルの半分に相当する輸入品や世界から輸入される鉄鋼・アルミニウムに対する関税を発動したほか、自動車関税もちらつかせている。また、日本、欧州、カナダ、メキシコを交渉の席に引きずり込んだ。