英語版を読む

孫泰蔵氏近影
今では投資家としての印象が強い孫泰蔵氏だが、20代には起業家として、経営者として、栄光とどん底を経験した。Photo by Aiko Suzuki

 ジェリー・ヤンさんの話(前回参照)を聞いて起業した後は、がむしゃらに働きました。

 僕の会社はIT関連の受託事業が中心でした。今思うと、むちゃくちゃなプロジェクトばかりをやってきたと思います。

 20代前半ということもあって、3日ぐらいは徹夜しても平気でした。インターネットに1日20時間近く触れては、寝袋に入り、また仕事をする。そんな生活が続いていました。とはいえ、自分がやりたくてやっていることですし、楽しく充実していました。

 次第に従業員も増え、100人近くの会社になりました。年商も10億円近くまで伸びました。大変なことはありましたが、会社として順調に成長していったのです。

 時代はちょうど2000年前後、ITバブル(インターネットバブル)に沸いている時期でした。新興市場が活況を呈しており、三木谷浩史さんの楽天や、堀江貴文さんのオン・ザ・エッヂ(ライブドア)などが次々に株式公開(上場)を果たしていきました。

 僕たちの会社も、その時代の流れに乗り、上場準備を進めていました。上場まであと少しという段階にきて、僕は「上場をやめる」という決断を下しました。突然のことだったので、周囲は驚いたと思います。