ボジョレーヌーヴォーが11月15日解禁された。バブル全盛期を知る世代には「解禁パーティー」などで騒がれたお馴染みのワインだが、輸入量は減り続け、「平成最後」となる今年の解禁イベントも盛り上がりに欠けた感は否めない。ハロウィンとクリスマスの間の新たなイベントとして、20~30代へ訴求するという動きもあるが、定着するのだろうか。(ジャーナリスト 芳賀 真)
「平成最後」でも
盛り上がらなかったボジョレーのイベント
ディスカウントストアのドン・キホーテは今年も、「ボジョレーヌーヴォー」を「9年連続最安値」の579円で発売すると発表。解禁直前にはさらに値下げし、549円(税抜)で発売した。
現地買い付けや、輸送コストを抑えることで低価格を実現させたというが、フランスから航空便でワインを運ぶと1本当たり約300円の輸送料がかかる。酒税と関税で約150円、さらに国内輸送費をオンすると、ワインの原価はいったいいくらなのか。そして、ドンキホーテに利益は出るのか。不思議で仕方がない。
ボジョレーヌーヴォーの価格破壊が起きたのは、「50年に一度の出来栄え」というコピーがついた2009年のこと。
ペットボトルを導入することで送料を抑え、1000円を切る価格を実現させたイオンと西友が発売前から低価格競争を繰り広げる中、ドンキホーテが2社を下回る最安値を発表し、話題を呼んだ。それでもこの年の輸入数量は、過去最大の100万ケース超を記録した2004年の半分にも満たない。
今年のボジョレーヌーヴォーの輸入数量は、2009年よりさらに少ない約40万ケースで、前年比8%減(ボジョレーワイン委員会調べ)。6年連続の減少だ。
ヌーヴォーはもはやダウントレンドとはいえ、昨年までは大手輸入社の多くが解禁前夜の「解禁パーティー」や解禁日の「新酒を楽しむ会」を企画したものだが、今年は「新酒の会」を取りやめる会社もあり、「平成最後のボジョレーヌーヴォー解禁」だというのに、盛り上がりに欠けた。
これまでは解禁が近づくと、飲食店の店先からスーパーの店頭まで、華々しく「ヌーヴォー解禁!」のポスターが躍ったものだが、今年はほとんど目にしなかった。実際、小売店舗での実売も伸びておらず、バブル期を知る50代以上が主な顧客で、若年層の関心は薄い。今週末には値下げが始まりそうな勢いだ。