意外に低い報酬と
莫大な一流コーチ費用

 本人の努力だけでは足りない。紀平が次世代スターとして飛躍するためには、競技に専念できる環境づくりをしていく必要もある。莫大な経費がかかり、“貴族のスポーツ”といわれるフィギュアスケートだが、グランプリシリーズでも優勝賞金は18,000ドル。グランプリファイナルで25,000ドル、オリンピックにつぐ権威があるといわれる世界選手権でも45,000ドルと、意外なほどに低い。

「もともとがアマチュアスポーツですからね。すべての大会に優勝したとしても、1シーズン1000~2000万円が相場といわれる一流コーチを雇うこともできない。コーチや振付師と契約し、いつでも練習できる環境を整えるためには、有力なスポンサーの存在が欠かせない。シーズンオフにアイスショーで稼いで、シリーズが始まったら世界中を飛び回る。そんな状態では4年後を見据えたトレーニングもままならない。そこで有力選手はスポンサー探しも大きな課題となるのです」(同前)

 紀平がオリンピックを目指すためのパートナーとなる有力スポンサーを獲得できるかは、今シーズンが正念場となるという。

「いまはフィギュアの注目度が高いので、彼女が今シーズン通して安定した成績を残せれば、来シーズン以降に有力スポンサーから声がかかることになるでしょう。浅田真央が人気のうちに羽生結弦が出てきたように、羽生が現役でフィギュアの注目度が高いうちに、次のスターが生まれるのが理想的です」(広告代理店関係者)

 スポンサーの問題は、選手個人だけではない。実は、「フィギュア界は日本の金でまわっている」と証言するのは、前出の広告代理店関係者だ。グランプリファイナルや世界選手権等を主催する国際スケート連盟(ISU)のスポンサーのうち「約3分の2」が日本企業なのだという。

「日本ではフィギュアのテレビ視聴率が高く、広告効果が大きい。選手が演技をしている間、リンクのまわりにある企業広告はテレビに映り続けますからね。キム・ヨナが出ていた頃は韓国企業の看板も多く見られましたが、いまはどこの国のグランプリシリーズでも日本語の看板が目立ちます。視聴率が15?20パーセントと安定しているうえに、日本人選手が活躍すればニュースやワイドショーでも繰り返し流される。看板を希望する企業は多いのですが、枠数は決まっているので、数年前から順番待ちの状態だそうです」(テレビ局関係者)