当時、ある研究開発部門のスタッフは、

「研究用に買っていたクルマの中に『マイバッハ』(ダイムラークライスラーが作っていた超高級車)があったのですが、ゴーンさんは『こんなものは無駄遣いだ』と言って召し上げられた。

 どうするのかと思いきや、ゴーンさんが自分で使ってるんですよ。ひどいと思いません?」

 と、いまいましそうに語っていた。

ゴーン氏の公私混同ぶりを
本当に上層部は知らなかったのか

 それだけではない。

「グアムにビジネスジェットを複数駐機させている」「豪華な別邸がある」「役員報酬が高額と言われているが、派手な生活と照らし合わせるとそれでも勘定が合わない」といった話を現場レベルの社員やOBから聞いたのは一再にとどまらない。

 筆者はそういうゴシップを追うのが好きというわけではないので、裏を取ったりはしなかったが、たたいてみたら埃がもうもうと立っているという現状を見ると、火のないところに煙は立たないのだなあと、改めて思う次第だった。

 西川社長は会見で「完成検査における不正を機にコーポレートガバナンスを強化する中で今回の件が発覚した」と説明していた。ファクトを伴って明らかにされたという意味ではその言葉にうそがあるとは思わない。

 しかし、経営者からの距離が果てしなく遠い末端の社員が不満を口にするありさまだったゴーン氏の公私混同ぶりを、上層部がまったく知らなかったとは到底考えられない。

 社長就任後のマスメディアとの懇談で取り柄聞かれたのに対して、「ゴーンさんとずっと仕事をしてきたこと」と答え、今回の会見でも自分のことを思わず「ゴーンさんの側近」と言うくらいゴーン氏と緊密だった西川社長。