発足以降に行われた国際Aマッチを4勝1分けと、無敗のまま年内の試合を終えた新生日本代表。終わったばかりの11月シリーズで脚光を浴びたのは、日本サッカー協会発表で197センチ、88キロと歴代のゴールキーパーの中で飛び抜けたサイズを誇るシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)だ。16日のベネズエラ代表戦で日の丸デビューを飾った26歳は、両足に搭載された正確無比なキックを何度も披露し、森保一監督から及第点を与えられた。日本サッカー界にようやく現れた、世界規格のサイズを持ったゴールキーパーはどのようなサッカー人生を歩んできたのか。守護神候補の現在・過去・未来を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)
身長197センチは日本のGK歴代最高
世界規格のゴールキーパーが誕生
テレビの画面越しでもはっきりと分かる、日本人の平均をはるかに上回る長い手足。先発メンバーとして読み上げられた名前はすべて片仮名で、なおかつルックスは外国人モデルをほうふつとさせる。そして、見ている側を最も驚かせたのが、試合前に国歌を斉唱している時の光景だったはずだ。
キャプテンのDF吉田麻也(サウサンプトン)の隣で肩を組む、GKシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)が頭ひとつ分ほど抜きん出ている。189センチの長身を武器に、長く日本代表で「高さ」を担ってきた吉田も心の中で苦笑いを繰り返していた。「相当デカいな」と。
ベネズエラ代表を大分スポーツ公園総合競技場に迎えた、16日のキリンチャレンジカップ2018。初招集から4戦目にして、先発メンバーとして国際Aマッチ初出場を勝ち取ったシュミットが、キックオフ前に強烈な存在感を放った。身長197センチは歴代のゴールキーパーの中で最も高かったからだ。
「正式に先発を言われたのは試合前ですけど、2日前に紅白戦を行った時から『来るだろうな』と思っていたので、そんなに緊張することはありませんでした。初めてにしては落ち着いて試合に入れたし、落ち着いてボールもさばけたと思うので」
待望のデビュー戦をこう振り返ったシュミットは、ある「伝説」をすでに打ち立てている。森保ジャパンが船出した9月に初招集されたシュミットは、合宿3日目だった同5日の朝に、宿泊していた札幌市内のホテル内に設けられたメディカルルームで思わず目を丸くしている。
札幌合宿に限らず、日本代表の宿泊先にはメディカルルームが設置される。体調を示すバロメーターとなる体重を毎日測る中で、ついでに身長も、と考える選手は少なくない。シュミットもその一人だった。
「1センチ伸びて、198センチになっていたんです」