オルソケラトロジーは不安定
角膜を痛める危険も

ただし、このオルソケラトロジーでは角膜上皮のカーブを変えるのは一時的なので、徐々に元に戻ろうとします。つまり視力が不安定でもあるのです。

軽い近視で、たとえ視力が不安定でも、どうしても昼間に裸眼で見えるようになりたい人だけが適応になります。例えば、裸眼で戦う必要のあるプロボクサーなどのスポーツ選手です。一方で安定した視力が必要なパイロットなどでは業務には危険なために、オルソケラトロジーは禁止されています。

この方法に対して、角膜カーブを半永久的に変えようとするのが、レーシック(LASIK)などの角膜を削る手術です。これは過酷な条件の米軍のジェットパイロットでも認可されています。

手術は受けたくない方で、軽い近視で、どうしても昼間に裸眼でいる必要のある方がオルソケラトロジーの対象候補でもあります。ただし、夜間にハードコンタクトレンズを装用したまま寝ますから、角膜障害をきたすこともあります。ひどいと、角膜内皮障害をきたして、角膜移植術が必要になることさえあります。

どうしてもオルソケラトロジーを希望するならば、万一の時に角膜手術、白内障手術、網膜手術などの手術治療も完全に行える上級眼科外科医のいる専門施設で施行してもらうべきです。

残念ながら多くのオルソケラトロジー治療は、手術などできない街医者にて、コンタクトレンズの派生形として処方されているのが現状です。これでは角膜上皮障害や角膜内皮障害が来ても治せないなど、危険極まりないとしか言いようがありません。合併症を未然に防ぐことが大事です。