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M&A実務において欠かせない存在が「特別委員会」だ。買収価格を公正に評価する特別委員会は、構造的な利益相反にさらされる親会社による子会社買収などにおいて、少数株主の利益を守る“最後のとりで”となるが、一方で経営陣の保身のための“隠れみの”と化すリスクもある。実はいま、この特別委員会に、司法と市場という二つの側面から大きな激変の波が迫っている。連載『事例で読み解く!経営・ビジネスの深層』の本稿では、特別委員会に迫る変革の圧力の正体について解説していこう。(プルータス・コンサルティング代表取締役社長 野口真人)
M&Aの陰の主役
「特別委員会」
日本のM&A実務において、かつてないパラダイムシフトが進行している。 支配株主による従属会社の買収や、経営陣によるMBO(マネジメントバイアウト)といった「構造的利益相反」を抱える取引において、特別委員会(Special Committee)の役割が劇的に変化しているのだ。
従来、特別委員会は、買収プロセスの公正さをうたうために形式的な運用がなされ、十分に検討されていないと思われるケースも散見された。例えば、親会社による上場子会社の買収において、親会社へ十分な交渉がされず、あるべき価値より低い価格で幕を引く――そんな“予定調和”は許されない。
現在、特別委員会に求められているのは、一般株主・少数株主(以下、少数株主)の利益を擁護するための「実質的な交渉機能」だ。彼らの判断一つで、数百億円規模のディールが破談に追い込まれ、あるいは買収価格が大幅に修正される。
本稿では、そもそも特別委員会とは何かを分かりやすくおさらいするとともに、その重要な役割、さらには特別委員会がたどってきた“問題点”について明らかにしていく。
実は、いま特別委員会には、司法と市場という二つの側面から変革を迫る“荒波”が迫ってきている。M&Aと特別委員会を取り巻く環境の激変とは何か。司法と市場の圧力がもたらした、M&Aガバナンスの変動を読み解いていこう。







