「50」 は新たな「70」のようなものだと耳にしたことはないだろうか?70歳を迎えたばかりの人に対して言う決まり文句の裏返しのようだが、これは石油業界の一角にとっては現実なのだ。米シェール業者は、29日午前の取引で指標油種ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物がバレル当たり50ドルを割り込んだことを快く思っていないが、何とか耐えられる。だが、他の多くの産油国にとってはそうはいかない。原油価格の新たな均衡点は一部の産油国の不意を突き、驚くべき勝者と敗者を生んでいる。奇妙なことに、これは一部の高コスト産油国にとってではなく、世界で最も生産コストが低い国を脅かしている。ペルシャ湾岸の君主国は巨大な埋蔵量を有し、生産コストも極めて低い。しかしながら、これら湾岸諸国は原油価格が極めて低い水準でもキャッシュフローを生み出すことができる半面、足元でWTIがバレル当たり50ドル、北海ブレントが60ドル程度の水準では、石油依存の経済を支えることができない。国際通貨基金(IMF)は、サウジアラビアが財政収支を均衡できる原油相場の水準を北海ブレントで85〜87ドルと試算している。
原油急落で明暗、意外な勝者と敗者の顔ぶれ
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