東京大学安田講堂Photo:PIXTA
2018年12月8日号の週刊ダイヤモンド第一特集は「日本人はもうノーベル賞を獲れない」です。20世紀に入ってから、日本は米国に次ぐ数のノーベル賞受賞者を排出しています。その受賞者の出身高校・大学を調べてみると、西日本の出身者が多く、東京は少ないことが分かったきました。その理由を探った本誌特集記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。

 2018年のノーベル生理学・医学賞に選ばれた本庶佑・京都大学高等研究院特別教授は、山口県内のトップ校の一つである県立宇部高校を卒業し、京都大学医学部医学科に進学している。

 ノーベル賞受賞者の出身高校に注目すると、所在地は西日本に多く、東日本は少ない。また、ほとんどが地方の公立高校出身である(次ページの一覧表参照)。

 東日本でも特に東京都となると極端に少なく、利根川進氏(都立日比谷高校)のたった一人。都内には受験界ではトップ校といわれる筑波大学附属駒場、開成、麻布、武蔵といった名門中高一貫校が多数あるにもかかわらず、である。

 小学校時代から塾に通い、過酷な中学受験を勝ち抜いた首都圏の偏差値エリートたちは、意外にもノーベル賞とは無縁なのだ。

 世界的研究で注目を浴びる理系研究者の輩出では、非関東の公立高校が強いという傾向は、“数学のノーベル賞”といわれるフィールズ賞でも同様だった。

 日本人の受賞者である、小平邦彦氏(1954年)、広中平祐氏(70年)、森重文氏(90年)の3人を見ても、広中氏は山口県立柳井高校、森氏は中部地区トップの名門私立、東海高校(愛知県)出身で、いずれも西日本にある。唯一、小平氏は東京都立小石川中等教育学校の出身だが、長野県立松本深志高校からの転校組だ。