最悪の事態のその後までを一度イメージで経験することで、「ネガティブな緊張」が大幅に弱まり、平常心になってくるのです。

「自分が死ぬなんて考えたくない」というのが当然です。ですが、何の準備もなく、突然、身の危険を感じざるを得ない状況に身を置かれると、本当にパニックになってしまいます。

 自分の中にイメージでの経験があると、実際に極限の緊張を強いられる瞬間、スッと落ち着きを取り戻せるときがあります。私自身、過酷な軍事訓練や真剣を使った武道などで、何度も死に直面するような緊張状態を経てきて実感しています。

 ですから、大げさに思われるかもしれませんが、たとえば新幹線に乗るとき、「もし脱線事故が起こったらどうなるだろう」と考えてみる。飛行機ならば、「この機体が急降下をはじめたら、自分はいったいどのような行動をとるべきだろう」と想像してみる。

 これは「臆病になること」とは違います。むしろ事に至ってあわてないために、想像の中で経験しようとしているのです。「動じない力」を得るための方法の一つです。

物事を「ゲーム」と捉えれば
落ち着いて状況を楽しめる

 私が陸上自衛隊に、非通常作戦を遂行できる日本初の「特殊部隊」をつくることになったとき、関係各所とさまざまな折衝をくり返しました。

 はじめてのことにチャレンジするわけですから、何をやろうとしても、ぶつかることばかりでした。

 たとえば、教育訓練のルールをつくるときも、その責任を任せられている部署の人たちは、「そんな訓練は許されていないから、やってはダメだ」と言います。しかし、やらなければそもそも特殊部隊にならない。

 そういうときには、こっそり訓練をして技術を磨いておきました。