新生銀行カルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反の疑いで逮捕されるという一大騒動のさなか、思わぬ形で新生銀行に注目が集まった Photo by Takahiro Tanoue

 役員報酬額の虚偽記載や海外住宅の私的利用など、「カネ」にまつわる疑惑が後を絶たないカルロス・ゴーン日産自動車前会長。その一つが、2008年ごろにゴーン氏が私的な投資で被った約17億円の損失を、日産に付け替えた問題だ。

 当時、この取引に携わったと報じられたのが、新生銀行だ。

「個別案件に関しては回答できない」(同行広報)というが、ある新生銀関係者は、「一連の報道内容は全て事実」だと明かす。

 新生銀といえば、バブル崩壊後に多額の不良債権を抱えて経営破綻した日本長期信用銀行が、そのルーツ。経営破綻した後、企業の設備投資資金など長期資金を融資する長期信用銀行から、普通銀行に転換する過程で個人向け部門の拡充など、新たな収益モデルの構築にかじを切った。

 その戦略の一つが、富裕層の資産運用や資産管理を担う個人向けビジネスだった。新生銀は、この事業を担う部門であるウェルスマネージメント部を02年3月に立ち上げており、その重要顧客の一人がゴーン氏だったという。