大統領支持率と
韓国の国民性

 韓国の事情に詳しい専門家の中には、「大統領支持率の推移には韓国の国民性がよく表れている」との指摘もある。端的に言えば、熱しやすく、冷めやすい韓国の国民性も寄与しているのかもしれない。

 文氏は、朴前大統領への不満をうまくすくい取ることで大統領の地位を手に入れた。その主張は、財閥に依存して成長を遂げてきた経済から脱却し、国民の所得が増えるように改革を進めるというものだった。

 当時、アジア地域の景気は、中国のインフラ投資等に支えられ、上向いていた。その状況下、韓国の有権者心理には、「革新派の政治家が自分たちの暮らしを楽にしてくれる」と期待するだけのゆとりがあった。それが、文氏への熱狂的な支持につながった。

 ただ、実際に財閥中心の経済を改革することは容易ではない。

 サムスン電子の売上高は韓国GDPの15%程度に達する。サムスンなどの成長が韓国経済を支えているのが実態である。やみくもに財閥を解体すれば、経済を壊しかねない。本当に文大統領が経済改革を進めるのであれば、長期の視点で規制緩和や起業支援などを進めることが不可欠だ。

 しかし、文大統領にはその肝心な「長期の視点」が欠けていた。

 同氏は成長から分配へ政策をシフトすることを主張した。その目玉が、最低賃金の引き上げだった。これに対して、企業経営者が反発するのは当然だ。7月、文大統領は最低賃金引き上げの公約を撤回せざるを得なくなった。

 有権者にとって、公約の撤回は期待を裏切ることに他ならない。最低賃金引き上げが頓挫するとともに、支持率は低下した。見方を変えれば、一時の熱狂が冷め、「改革は容易ではない」という厳しい現実を理解する有権者が増えたということだろう。

 9月の南北首脳会談後は支持率が持ち直すかに思われたが、そうはなっていない。11月最終週の時点で支持率は48%台に落ち込み、不支持の割合は文政権発足後の最高水準に達した。文大統領の「実力」に気づき始めた有権者は増えている。