英政府はまだ欧州連合(EU)離脱の交渉時間があると思っているかもしれないが、金融セクターはほとんど時間切れになっている。英国のテリーザ・メイ首相は10日、EUとの離脱合意案を巡りキモとなる議会採決を延期し、EU離脱の先行きは一段と不透明になっている。ポンドは1年半ぶり安値に沈み、英国事業に特化する企業の株価は急落した。一方で、世界の金融業界の主要部分にとっては、より大きな問題が横たわっている。金融界では通常、契約に90日間の通知期間が必要とされる。3月29日の期限からさかのぼり、年末の休暇期間を除くと、金融機関が真に決定しなければならない時期はまさに今だ。最も大きな影響を被るのは、金融市場インフラの中心を成すクリアリング(清算)だ。ロンドンは清算業務の主軸を担う都市だが、3月29日までに英国とEUが何らかの関係維持で合意しなければ、ロンドンの金融機関は欧州大陸の銀行や投資家向けに清算業務を行うことができなくなる。
EU離脱、英金融界はクリスマス前に時間切れも
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