「あなたのためだから」が
「引きこもり」を強化してしまう

 山根教授によると、そうした変化があったのは、年金の支払いなどの話題に本人が不機嫌になるからと避けるのではなく、言わなければいけないことを母親がどのタイミングでどう関わればいいのかを、具体的に教えてサポートしているからで、こうした一つ一つの課題を乗り越えていくことで親も自信をつけ子に向き合っていけるのだという。

「親たちは皆、ネット注文した品物を“この子は人が苦手だから仕方がない”と自分で受け取ってしまう。年金などの支払いも引き落としでなく、一緒に支払いに行く。本人にどこまでならできるか聞きながら、段階的にやってもらう。共通しているのは、本人に聞かずに自分で行ってしまう人が多いんです」

 こうした親が「良かれ」と思って行っている「あなたのためだから」という呪いの言葉が子を動けなくし、共依存関係をつくり出して、「無視」「黙る」「働かない」といった「引きこもり」状態を強化してしまうと、山根教授は指摘する。

 家族は、周囲から「育て方の問題」と責められ、自分自身を責め立てる。藁をもすがる思いで支援につながったとしても、家族が子にポジティブに関わるためには、知識だけを伝えてもスキルにはならず、支援者が家族をポジティブに支えなければ、日々の生活に新しい知見を取り入れて変わることはできない。

 この家族心理教育プログラムは、基礎編が6回、実践編が月1回行われている。

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