今年11月、2015年12月に慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意に基づいて設立された「和解・癒やし財団」を、韓国政府が解散しました。さらに、韓国最高裁が新日鐵住金や三菱重工に徴用工への賠償を命じる判決を下しました。今、日本人の嫌韓意識に再び火が付きそうな状況にあります。しかし、そもそも日本人の嫌韓はどこからくるのでしょうか。日韓6000人へのアンケートを基に、その原因を探りました。(本記事は週刊ダイヤモンド2015年10月31日号第一特集「日韓本当の大問題」からの抜粋です)
ソウル南部の江南(カンナム)で取材を終え、中心部へとタクシーで向かう道すがら、日本人相手の観光案内も手掛ける運転手の洪炳利(ホン・ビョンイ)さんが韓国訛りの日本語で愚痴り始めた。ちょうどソウル最大の繁華街、明洞(ミョンドン)を通り過ぎる辺りだったと思う。
「この辺は3年くらい前まで日本のおばちゃん通りだったよ。今、いないね。日本人のお客さん、8割減った。じぇんぶ嫌韓のせい」
一転、取材先では「日本人が減ったのは嫌韓ではなく、円安のせい」(韓国の大手銀行幹部)。「冷え込んだ政治関係と違って、日韓のビジネス関係は至って冷静」(総合商社の駐在員)。そんな声が大半を占めるのである。