吉沢亮は残念キャラでも秀逸!大ヒット『国宝』から一転、ヤケクソ演技がハマり役「悪いなつまらん授業で…」〈ばけばけ第48回〉『ばけばけ』第48回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」連載です。本日は、第48回(2025年12月3日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

錦織の授業は面白くない

 寒さで寝込んでいるヘブン(トミー・バストウ)。

 ヘブンもトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)もブードゥー人形に状況改善を祈っている。

 そこへ小谷(下川恭平)が見舞いにやって来た。

 錦織(吉沢亮)の授業が面白くなく、ヘブン先生の授業の方がずっとずっと面白いので一日でも早く戻ってきてほしいと話していると、それを錦織が聞いていた。

「悪いなつまらん授業で」
「いつから?」
「ずっといたよ」

 最高に気まずいパターン。

「でもあの悪くなかったですよ」といまさらフォローしてもあとのまつり。

「そもそもなんでお前が来るんだ。私が報告に来ることぐらい察しがつくだろう」などと錦織はぶつくさ言う。

 吉沢亮は主演映画『国宝』が22年ぶりに邦画興収第1位の記録を抜いて、いまや邦画でナンバーワンの記録保持者になった。人間国宝になるほどの才能のある歌舞伎役者の役を演じていた吉沢が、『ばけばけ』では大盤石と呼ばれる優秀な人物にもかかわらず、ちょっと残念なキャラを演じている。このちょっと残念な感じもじつにうまいのが吉沢亮。幅広い俳優である。

 ヘブンの授業が面白いとは、ただ、近況を英語でしゃべっているだけなのだが、その話が面白いということだろうか。主に愚痴なのに。そういうふだんのおしゃべりのような英語が堅苦しくなく、学びのモチベーションになるのかもしれない。

 いやまあ、お見舞いなので、苦しんでいるヘブンを喜ばせようとしただけかもしれないが。

 小谷の最たる目的は、トキだ。お見舞いにかこつけてトキに会いたいのだろう。

 錦織が帰るのに、小谷は居座る。

「ご迷惑じゃありませんか 私がいて」
「むしろ1人だと少々……(ちょっと笑って)助かります」

 ひとりで看病したくないというトキの反応はどういう意味?

 第48回ではトキの繊細な心の内が描かれる。