たとえば、男性部下は「負けた」と思ったときに辞めたいと思う傾向がある。男性の人間関係は縦社会。年齢、地位、肩書きによって上下関係を決め、それに従うのは男性にとっては当たり前のことである。特に上下関係が「見える化」する肩書きを与えられると、男性は組織の中で闘い、序列を確定していくのだ。「勝ち」「負け」によって仕事のモチベーションが上がるのもそのためである。

 また、男性は、組織やグループ内での序列に非常にこだわる。たとえば、Aさんは部長、同期のBさんは同じ役職。Cさんは年下だけど役職が上。このような情報がないと安心してふるまうことができないが、逆に序列がわかると安心して能力を発揮できるのだ。つまり「自分より格下」の人間に追い抜かれたとき、男性は仕事への意欲をなくしやすいのである。

 一方、女性部下は「つながりを断たれた」ときに辞めたいと思う傾向がある。なぜなら、女性にとっての仕事の目標は、人生の豊かさを得る「やりがい」が重視されるからだ。自分の好きな仕事、得意な仕事、誰かの役に立つ仕事という「ステージ」で、キラキラ輝きたいと思っている。組織より自分の「やりたい仕事」が優先なので、転勤を命じられたり、違う部署(やりたくない仕事)に異動させられると、あっさり転職したり、辞めたりするのである。

 また、女性は仕事のやりがいと同じくらいに、「つながり」を断ち切られることに対しても拒否感を感じやすい。したがって、転勤によって家族、恋人、友人とのつながりが断ち切られそうになると、あっさり会社を辞めて自分の今いる環境を選ぶのである。

 このような男性部下と女性部下の違いを“デキる上司”はわかっている。しかし、必要最低限の言葉しか交わさない職場では、部下がどんなことを考えて働いているのか察することは難しいだろう。優秀な部下を手放さないためには、こういった違いを理解して細かいケアが必要なのだ。