「平成で思い浮かぶ人物」という世論調査で断トツトップとなった小泉純一郎元首相。郵政民営化や拉致問題などの記憶が鮮明に残っているためだ。DOL特集「平成の証言」では、そんな小泉元首相を、「YKKトリオ」としてそばで見続け、『YKK秘録』(講談社)を出版した自民党元副総裁の山崎拓氏に、小泉劇場の舞台裏などを振り返ってもらった。(ジャーナリスト 横田由美子)
小泉純一郎元首相は
天才的なポピュリスト
──読売新聞の全国世論調査で「平成で思い浮かぶ人物」を挙げてもらったところ、小泉純一郎元首相が断トツでトップでした。山崎さんは、小泉さん、加藤絋一さんと一緒にYKKを結成して政局をリードし、小泉政権誕生後は、幹事長として政権の中枢を担いました。山崎さんにとって小泉さんとはどのような人物に映っていますか。
山崎 『YKK秘録』にも、小泉さんの印象は書いてありますが、一言で言えば、天才的な「ポピュリスト」です。
彼が当時、よく言っていたのが、「ローマ皇帝は民衆を統治する上で、パンとサーカスを与えた」という言葉です。パンとは生活、すなわち経済です。サーカスは、民衆を興奮させるための演出です。一定の生活水準を民衆に与え、民衆が固唾を飲んで興奮するような命綱のない空中ブランコを見せた。