『週刊ダイヤモンド』5月28日号の第一特集は「慶應三田会 学閥の王者」です。本誌では、小泉内閣で不良債権処理や郵政民営化等の構造改革を進めた竹中平蔵慶応義塾大学名誉教授が「慶應ボーイとしての小泉純一郎」を語るインタビューを掲載しています。インタビューでは、竹中氏が教授を務めた湘南藤沢キャンパス(SFC)の特徴から、福澤諭吉の肖像画が使われ続ける1万円札の都市伝説にまで、話題が広がりました。本誌未掲載分を含むロングインタビュー版でお届けします。(『週刊ダイヤモンド』編集部 泉 秀一)
──竹中教授は、郵政民営化などの改革を行われ、政治でも活躍されました。共に改革を成した、小泉純一郎元首相は慶應義塾大学出身ですね。
私が知る中では、一緒に仕事をした小泉元首相が、最も慶應らしい政治家でした。
慶應の教えの根本には、「常識を疑う」精神があります。それを小泉さんは体現していた。永田町内で多くの反感を買いながらでも、郵政民営化などの構造改革を進めたのは、その最たる例でしょう。
ただ、小泉さんは学閥を嫌っていました。今見返せば、確かに慶應OBが小泉政権の要職を占めていましたが、あくまで結果論だと思います。
そういえば、小泉政権時に湘南藤沢キャンパス(SFC)のアイディアから実現したものがあります。私がゼミの大学院生と雑談をしていた時のこと。「今や政府もメールマガジンやタウンミーティングで国民とコミュニケーションを取る時代だ」という案が生まれ、私がそのまま小泉さんに提案しました。
小泉さんも「おお、やってみよう」と二つ返事だったのですが、一言だけぼそっと。「それは日本語にならないか」と。小泉さんは横文字が嫌いなので、なんとか日本語に変えたかったようですが、どうにも難しいので「無理です」と返しました(笑)。
慶應出身の政治家が増えていますが、小泉さんのような“慶應らしい”議員は少ないですね。今、慶應らしい議員といえば、不良債権処理に一緒に取り組んだ伊藤達也をはじめ、河野太郎、河井克行、野党だと長島昭久あたりでしょうか。
ただ、誰に一番期待しているかと聞かれれば、慶應卒ではないですが、やっぱり小泉進次郎と答えますけどね(笑)。