中堅のキャリア形成を考える際には
「キャリアの棚卸」がポイント

 筆者がキャリアカウンセリングをする際には、3つのカテゴリ別に質問します。それを、「キャリアの棚卸」といいます。

「キャリアの棚卸」では、「NEED(会社から求められている自分の役割)」「WANT(自分がやりたいこと)」「CAN(自分ができることや実績)」という3つの視点に分けて整理します(詳細は著書「仕事は人間関係が9割」を参照)。

 今回の事例のように、Aさんは新卒で採用されて、勤続10年以上の中堅社員で、キャリアを棚卸するには、十分な“リソース(資源)”があります。3つの視点からそれぞれ丁寧に質問し、共有しながら話を進めることにより、「何をするべきか」が見えてくるのです。

 そうすれば、「不安から大量の自己啓発セミナーに申し込み、散財する」といった状況は防ぐことができたのです。ただし、経験が浅い若手社員については、棚卸できるリソースが期待できない可能性があるので、その時は別の手法を用います。

 では、S課長は、どうすればよかったのでしょうか。会話から学んでいきましょう。

Aさん 「中途のキャリア採用のメンバーを見て、本当にすごいなと思いまして…」
S課長 「例えば、どんなことですか?」
Aさん 「将来のキャリア形成に向けた勉強だといって、社外のセミナーに参加したり、講座を受けたりしているみたいです。ああやって勉強してきたから、キャリア転職できたのですよね…。私は、そういった情報に疎いというか…」
S課長 「情報を収集することも重要ですが、まずは、キャリアを棚卸して整理してみましょう」
Aさん 「キャリアを棚卸ってできるのですか?」
S課長 「3つの視点で考えてみましょう。まず、Aさんが会社から求められている役割を考えてみて、次にAさんがやりたいこと、最後にAさんが今までやってきたことや実績などを紙に書いてみるなりして、整理してみるといいですよ。そこから、私も一緒に考えますから、まずは何をすればいいのかを見つめていきましょう」
Aさん 「そうですね!大変な作業かもしれませんが、不安が払しょくされる期待感はあります!ありがとうございます」