10年前、パーティで
大学時代の元彼と再会した

 それは10年近くも前で、秀紀さんともまだ出会っていなかったころ。仕事関係のパーティで、來未さんは偶然にも学生時代の元彼と再会した。

 久々に会う彼は、ネクタイもスーツもすっかり板につき、しっかり大人の男性になっていた。

「久しぶりだね、元気そうで、よかった。今何してるの」

 親しげに語りかけてくる。

「うん、広告代理店で働いているの。企画を立てたり、営業したり、何でも屋さんみたいな感じ」

 習慣でつい名刺を渡すと、しげしげと眺めている。

「へぇ、バリバリのキャリアウーマンって感じだね」

 笑顔で立ち話をしながら(あれ、私この人とどうして別れたんだっけ)と記憶をたどる。そして思い出した。

(あぁ、こいつ“だめんず”だった。私確か、二股かけられていたのよね。その上、しょっちゅうおごらされて、あれ、確か貸したお金も返してもらってない。うーん、名刺渡すんじゃなかった)

 一気に懐かしさが冷め、話を切り上げにかかると、慌てたように聞かれた。

「ね、携帯まだ変わってないんだよね。今度連絡してもいいかな」

「えっと、そうね。いいよ。じゃあまた」

 逃げるように、その場を去った。