稼ぐ妻に対して夫はどう思う?
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共働きが多数派となったとはいえ、男女の賃金格差はいまだ大きい。「夫は妻より稼いで当たり前」という価値観を、男女ともに持ち続けているのが今の日本社会の現状だろう。それでは、自分より高収入のパートナーを持つ男性たちは、実際のところどう思っているのだろう。本音を聞いてみた。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)

単純に喜べない妻の高収入
過渡期の中、夫たちの本音とは

 共働き世帯は年々増加してきており、平成28年現在の共働き世帯と片働き世帯の割合は約2:1となっている。夫婦として生活を共にする2人であっても、共働き世帯の夫婦はそれぞれがそれぞれの職場でプロフェッショナルとして日々しのぎを削っている。そして共働き世帯の割合がここまで増えた昨今、妻の方が高収入であることはなんら珍しくはないのである。

 しかし夫からするとこれは複雑である。複雑な心境になり得る境遇である。「妻の方が高収入だ、贅沢(ぜいたく)できる。わーい」と喜べるほど、ことは単純ではない。

 なぜ夫の胸のうちが複雑になるかといえば、まず、男女の年収格差が厳然と存在していることである。国税庁の「平成29年分 民間給与実態統計調査」)によれば年間の平均給与がそれぞれ「男性532万円、女性287万円」となっている。

 また、共働きの夫へのプレッシャーとして、昭和から培われてきた「夫が稼いで妻が家を守る」という価値観も関係していそうである。夫たる存在はすべからくガッツリ稼いでいるべきで、妻に収入を超されるべきではない…と、こういうわけである。

 これらの実態がある中で「女性より稼ぎの少ない男性はいかがなものであろうか」という考えが生まれるのは無理からぬことである。「そう感じる必要はないのですよ」といくら周りが夫をなだめてみても当人がそう感じてしまっているのであれば仕方がない。とりわけ男性は自分の仕事と立場にプライドを高く持つ傾向があるので、妻に上を行かれたとあってはメンツが立たないかもしれないのである。

 現在は、いってみれば従来の価値観と新スタイル、およびそれに付随する新しい価値観が混在する過渡期である。過渡期のまさに渦中にいる当人たちはこのことについてどう考えているのであろうか。彼らの本音を拾い上げてみたい。

※国税庁 民間給与実態統計調査結果