経営×経理

 さらに突き詰めて問い直せば、人手不足がクリアできる上、残業体質を払拭できる可能性も潜んでいることが考えられます。自身が貢献していると思われる点に対し、否定されることを歓迎する人などごくわずかでしょう。しかし、マネジャークラスであれば、自身の立場を厳しく捉え、時にはこれまでのマネジメントスタイルを客観視してメスを入れなければならないこともあるはずなのです。

「人手不足」の背景を冷静に
見極めて適切な措置を講ずる

 そもそも“人手不足”とは、人の手数が足りない状況を指すのでしょうが、人手不足を正しく疑い、経理担当者の実務から組織体性に至るまで、課題点・問題点をすくい上げて冷静な視点で改善を図ることが、マネジャーの任務です。

 ここは、思い切って前進するべきところですが、他にも優先順位が高い任務が控えていて、じっくりと改善案を考えて実行するなど、時間的なゆとりがない方も少なくないでしょう。

 ただ、本稿をお読みのあなたが経理部マネジャーであれば、自分自身が経理部内で本来の職務を全うする意味でも、現況を改善するヒントを得てほしいもの。ここで本当に人員不足なのか、それとも他に原因があるのかを振り返ってもらうために、現場にありがちな3つの課題にそれぞれの改善策を加えながら説明していきます。

【課題1】
部員のスキル不足が
生む人手不足感

 経理部内にスキル不足のスタッフがいるため、人手不足を感じるケースは少なくありません。たとえば、経理担当者として持ち合わせなければならない簿記・税務に関する基本知識が備わっていない、あるいは事務処理能力が乏しいため、他の部員らがカバーするような悪しきチームワークでしのぐような事態が続けば、生産性が悪化するのは言うまでもありません。放置すれば、新規事業の立ち上げなど新しい仕事が増えた場合、立ち行かなくなります。

 マネジャーは、経理部員1人1人の資質を見極めて、足かせとなっている部員がいれば、本人の意向を聴きながら知識を備えればクリアできるのか否かを冷静に判断し、時にはシビアな視点で人事部にも働きかけ、適所適材の体制づくりを図るといったことを実行しなければならないでしょう。

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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