経営×経理

 また、ひょっとしたら部員らにはまだ潜在能力があり、より良い方法に関する意見・アイデアがあるにもかかわらず、それを言い出しづらいために、旧態依然の方法に甘んじていることもあり得ます。あなたが率いる経理部は、いかがでしょうか。もしも、長きに渡って同じ部員・同じ体制で形成されている経理部だとしたら、家族の介護や出産・育児などの理由で欠員が生じた途端に“人手不足”と判断する可能性が高いでしょう。そして「本当は何が必要か」を斟酌することなく、その部員の仕事をそのままカバーして残業が常態化したり、勇み足で人員を補充したりといった方向に動いてしまうのは、目に見えています。

 マネジャーは、これまでの部内会議のスタイルを刷新して、自由に意見やアイデアを言える場を設けたり、あるいは現行の組織体制に焦点を当てて、部員らの仕事がやりづらい箇所の有無を検証したり、抜本的な環境整備を早急に取り図ったりする必要があるかもしれないのです。

人員補充は本当に必要か?
経理部の体制が万全か問い直す

 労働者不足は喫緊の課題であり、その打開策としてRPAを導入するなどして、人が行う仕事を削減する必要性が声高に叫ばれています。確かに、こうした仕組みの導入は優先して検討すべきところでしょうが、導入後は税法に即した会計、帳簿に関する処理管理については省力化が図れたとしても、本当に自社の経営発展に繋がるような付加価値の高い経理業務が実現できるのかを、冷静に問い直す必要があるでしょう。

 たとえ最新のシステムを導入して、人手不足が解消されたつもりでいても、残された人員の能力が発揮される良好な組織体制が整っていなければ、新規事業をスムーズに進めるための具体的な手段を講ずるといった“人”でなければ対処することのできない事態に直面した際、立ち行かなくなります。

 まずはネガティブな“人手不足”感を払拭して、経理部内の各人の能力を自社の経営改善・発展のため、フルに発揮させられる経理体制なのかを問い直す。そして少しでも問題があるのなら、早急に善処する。こうしたことは、経理部のトップが考えなければならない基本中の基本なのです。

(ビジネス作家・経理環境改善コンサルタント 田村夕美子)

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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