枝分かれしたビジネスパーソンのコマPhoto:Andrii Yalanskyi/500px/gettyimages

ビッグ4最大手のデロイト トーマツ コンサルティングで内部崩壊が進んでいる。アクセンチュア対抗策の不発や営業力低下、人事戦略の失敗…。デロイトの業績悪化には多くの要因が複合的に絡んでいる。長期連載『コンサル大解剖』内の特集『デロイト内部崩壊』では10回前後にわたり、巨大コンサルの内部崩壊劇の内幕を明かす。第3回は、業績悪化の七つの原因をまとめた内部資料を公開するとともに、デロイトの“病根”を明らかにしていく。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

デロイトが業績悪化報道に大反論
幹部向け内部資料に「七つの原因」

 デロイト トーマツ コンサルティングに関する一部報道について――。

 デロイトは11月24日、社内のイントラネットでパートナーなど幹部向けにそう題した通知を出した。一部報道とは、明示されていないものの、同日にダイヤモンド・オンラインが配信した『【スクープ】デロイトが内部崩壊!“予算未達ドミノ”で大幅下方修正、「禁じ手」人員削減リストラ計画の全容』の記事を指すとみられる。

 デロイトの佐瀬真人社長と、上部組織であるデロイト トーマツ合同会社の木村研一グループCEO(最高経営責任者)の連名で出された通知は、記事に対してこう反論した。

「事業推進にあたり業績の精緻な予実管理を行うと共に、事業環境の変化に合わせての大胆な施策を厭わない姿勢に対して、その動きを表面的に捉え、偏った記事が掲載されていることは誠に遺憾です」

 反論では、業績悪化については触れられておらず、「事業環境の変化」が存在するという点が強調されている。

 ただし、佐瀬氏は10月27日に開かれた内部のパートナー会議では、業績悪化を認め、その原因を総括している。その上で、経営改革として、経営体制の刷新などを打ち出している(『【スクープ】デロイトで「倒閣運動」の反体制派に粛清の嵐!“血判状”も出回ったクーデター事件の内幕』参照)。

 ダイヤモンド編集部は、パートナー会議で示された内部資料を入手した。次ページでは、佐瀬氏が挙げた、業績悪化の七つの原因の詳細を明かす。原因には、アクセンチュア対抗策の不発に加え、組織の対立や肥大化などを背景とした営業力低下などが挙げられている。

 佐瀬氏は2021年のダイヤモンド編集部のインタビューに対し、アクセンチュアには上流の構想力で対抗していくと強調していた(『打倒アクセンチュア!デロイトのコンサル社長が力説、実装力で負けても構想力で勝つ』参照)。その対抗策は、なぜ不発に至ったのか。

 そして、組織同士の対立や肥大化…。パートナーから若手のコンサルタントまで職位の軸に加え、業界を担当する「インダストリー」とテーマ担当の「オファリング」、フロントやバックといった部門や職種の軸で、どんな混乱が起きていたのか。

 実は、背景にはトップが推し進めた経営方針などの弊害がある。プロジェクトへの配属を断る「アサイン拒否」の多発なども引き起こした人事戦略の失敗についても深掘りし、“病根”の根深さを明らかにする。