正能 私自身、大学で学生たちとやりとりすることが多いんですが、やっぱり基本、相手の存在を認めることがベースになりますよね。こまめに連絡するし、会って話をする機会も設ける。とにかくオンラインでもリアルでも、反応をすることが大事なんです。その上で、いいことはきちんと言葉にして褒める。私を含め、新人類たちは承認欲求があふれ出ているのかもしれません(笑)。

リアルでもSNSでも
「いいね」を押せ

正能 究極には、お互いに「いいね」と言い合えるような関係性を築くところから始まると思うんです。そのためには、「私たち」という主語を使えるような関係性を、上司や部下、同僚など、できるだけ狭い、顔の見える範囲内でたくさん作っていくことが重要なんじゃないかな。

大室 おそらく、2つの方法がある。つまり、その「私たち」を共有するのは「巻き込み型」のやり方。かつては、日本という国自体に「大きな物語」があった。戦後復興から高度成長期にかけて、日本人全員が「私たち」という帰属意識を共有して、同じ方向に向かって頑張っていくことができたんです。

 けれども今、その大きな物語が崩壊して、寄って立つものがないから多くの人が不安を抱えている。そこに現れたのが、ベンチャー企業やカリスマ性のある経営者で、彼らは「小さな物語」を作って、そこに共感する人たちを巻き込んで「私たち」が向かう方向性を自ら描くようになった。でもこれは、人間力に大きく左右されるところがあるし、一般的な企業に勤める会社員がやるにはなかなか難しい。

 それなら、中間管理職はもう1つの方法である「不安解消型」を目指した方がいい。部下の足元を照らして、「今こういう場所にいるから、こっちに向かうといいよ」とか、キャリアをマッピングしてあげることで、彼らの不安を解消する。この方法なら、労を惜しまなければできるんじゃないかな。

正能 でも、やっぱりその上司が信頼できる人や尊敬できる人じゃないと、何を言われても響かないような気がします。洋服屋さんであまり素敵じゃない店員さんに「お似合いですよ」と言われても、何も響かないじゃないですか。結局、人間力はどちらにしろ必要だと思ったり。