これには、これらの国の歴史を考えてみる必要がある。ギニア、シエラレオネ、リベリアは、アフリカの中でも特殊な国と考えられる。シエラレオネはダイヤモンドなども産出し、GDPは低いわけではない。シエラレオネは18世紀のイギリスの奴隷解放運動後の1808年にイギリスの植民地となり、1961年に独立した国で、首都はこれにちなんでフリータウンと名付けられた。イギリスから帰国した人たちが経済を握っている。

 リベリアは19世紀のアメリカ合衆国の奴隷解放運動の後に帰国した奴隷によって建国され、1847年に独立した国で、アメリカから帰国した人たちが経済を握っている。ギニアは、1958年にフランスから独立したが、独立時に宗主国が全てのものを持って行ってしまった。そのため国としての機能が果たせず、その後、ソ連に頼るも国家運営がうまくいっていない国である。シエラレオネとリベリアは、帰国した人たちと現地住民との格差が顕著である。

 この3ヵ国に共通しているのは、多くの住民が国、政府を信用していないことである。隔離のために病院に連れて行かれて戻って来ないのは、「政府に殺されてしまったのではないか」と思い込み、診療所を襲撃した可能性があると言われている。

アフリカから発生したエイズは
先進国で急激に研究が進んだ

 エボラの流行を放置していた理由として、もう1つ考えられるのが、西アフリカの地域に対する偏見である。

 アフリカから発生した、もう1つの有名な感染症がある。1980年代から20世紀の後半にかけてエイズという不治の病気が世界を席巻した。

 アフリカでは地域によって、30%以上の成人がエイズウイルスのHIVに感染しており、治療薬もないため、多くの人が犠牲となった。現在では、症状が進まないようにする良い薬が開発された。それらを飲んでいれば普通の生活が可能であるが、いまだにアフリカでは多くの人がエイズで死亡している。