また、妊婦加算が導入されたことが、肝心の妊婦たちに周知されておらず、充分な説明がないまま、通常よりも高い料金を請求されたことで、制度への不信感が増してしまった感もある。

 本来の趣旨が理解されず、妊婦の負担増だけに焦点が当てられた議論は、残念でならない。

中医協は妊婦加算凍結の手法に
答申書で苦言を呈した

 SNSやメディアでの妊婦加算への批判の高まりを受け、11月2日、厚生労働省はリーフレットを作成し、妊婦加算の周知を促すために関係各所に協力を要請。同月28日には、コンタクトレンズの処方などには妊婦加算をつけられないなど適用範囲を厳格化することで、事態の収束を試みた。

 しかし、批判は一向にやまず、12月13日、自民・公明両党から「妊婦が安心できる医療提供体制の充実や健康管理の推進を含めた総合的な支援の検討を行うこと」「2020年度診療報酬改定において、妊婦加算の在り方を含め検討し、見直すこと」「妊婦加算を一時停止する方向で、速やかな措置をとること」が要望される。

 厚労省は、加算自体はそのままにし、妊婦の自己負担分を公費(税金)で手当てする方法も提案したが、予算措置に時間がかかるため、早くこの問題を収束したい政治側の理由で凍結が決定。

 12月19日の中医協で、根本匠厚生労働大臣が、妊婦加算を2019年1月1日から「大臣の定める日まで」凍結することを諮問。これを受けた中医協総会は、妊婦加算の凍結を了承。一連の問題に幕引きがされた。

 しかし、中医協総会は、大臣の諮問を受け入れながらも、答申書で「(妊婦加算の)趣旨・内容が国民に十分に理解されず、妊婦やその家族へ誤解と不安を与え、その結果として、算定凍結の措置を講ずるに至ったことはやむを得ないこととはいえ、誠に遺憾である」と発言。そして、今回の妊婦加算凍結の手法について、次のように苦言を呈した。

〈本協議会では、診療報酬改定後のしかるべき時期にその実施状況等について調査・検証を行い、必要であれば見直しを行うということを基本としている。そのような中で、必要な調査・検証が行われないままに、凍結との諮問が行われたことは、極めて異例なことであると言わざるを得ない。

 しかし、本協議会としては、妊婦加算の算定をこのまま継続することは、当初の妊婦加算の意図の実現が十分に期待できない可能性があるとの判断をした。

 今回の措置は、このような特別な事情に基づき実施するものであり、エビデンスと検証を踏まえて議論した上で対応するという、これまでの診療報酬改定の基本的な考え方を変更するものではないことを確認する〉