「妻の出産後の男性の休暇取得率80%」「男性の育児休業取得率13%」「第1子出産前後の女性の就業率55%」
これは、3月20日に閣議決定された「少子化社会対策大綱」で、国が示した数値目標の一部だ。
日本では、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進んでいる。2006年をピークに人口は減少に転じており、2013年の合計特殊出生率(ひとりの女性が一生に産む子どもの平均数)は1.43。
底を打った2005年の1.26に比べれば微増しているものの、出生率の低下は労働力や社会保障の支え手不足に直結し、地域、企業など社会全体に大きな影響を与える。政府も、現在の少子化は「社会経済の根幹を揺るがす危機的状況」と見ており、結婚や子育てをしやすい環境をつくるために、労働法制や社会保障、子育て支援策の見直しを急いでいる。
健康保険や雇用保険などの社会保障も、ここ数年は子育て世帯への支援が強まっており、男性の育児休暇取得も推進されている。今後、出産や子育てに関する制度は女性だけのものではなく、誰もが知っておきたいものになるはずだ。
そこで、今回から2回にわたって出産や子育てでもらえる医療費関連のお金をおさらいしてみたい。
妊娠・出産を支援する
3つの制度をチェック
出産した女性や子育て世帯には、社会保険からの給付のほか、国や自治体からの助成金が用意されている。1回目は、妊娠期間中から出産までにもらえるお金の内容とポイントを見てみよう。
●出産育児一時金…42万円(健康保険の給付)
【給付内容】
会社員も、自営業も、子どもひとりにつき42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は40.4万円)。加入している健康保険から、出産した女性に給付される。会社員の夫に扶養されている妻は、夫の健康保険から「家族出産育児一時金」が給付される。