やらせはテレビ業界の構造的な問題
テレビ局の変わらぬ意識

 テレビは「やらせ」との歴史だと言っても過言ではない。記憶に新しいところでは、釣り糸を猿の首に巻き付けてラジコンカーで猿を引っ張り、猿が追いかけているように見せる細工をしたフジテレビ「ほこ×たて」。納豆ダイエットについてのデータや証言の捏造が発覚した関西テレビ「発掘!あるある大辞典2」などの例があった。

 定期的に発覚するテレビ局によるやらせだが、懲りないテレビの実態をラリー氏はこう語る。

「やらせが発生する原因はテレビの構造的な問題にあります。ひとつは番組において放送日までのスケジュールが非常に短く、かつ作業量も膨大なこと。もうひとつはテレビ局員と下請け制作会社の給料と待遇の格差です。下請けは低い給料ですが、求められる仕事の質は、高給取りの局員と同じ。結果を出さなければ契約を切られるので、みんな躍起になって求められるものを作ろうとします。プレッシャーとタイトなスケジュールが合わさって、やらせの一線を越えてしまうのかもしれません」

「やらせ」が発生するのはテレビの構造的な問題だと指摘するラリー氏。さらに、テレビ局の「やらせ」への対応や意識も変わっていないという。

「テレビ局側もアウトとセーフの基準は昔より厳しくしていると思います。しかし、根本的な意識は変わっていません。今回の『イッテQ!』の初期対応も謝罪や説明のないもので、『どこもこれくらいはやっている』という本音が透けて見えるものでした。『ほこ×たて』や『あるある大辞典』からテレビ局の対応は変わっていません。業界全体での『やらせ』に対する危機感の薄さと慢心は否めないですね」

 では、テレビを見続けてきた視聴者側に変化はあるのだろうか。

「視聴者の意識は、今も昔もそこまで変わっていないと思います。ただ昔はテレビは垂れ流しで、放送が終わったらもう見られなかった。しかし時代と共に録画機能やビデオ、DVD、YouTubeや見逃し配信で繰り返し見られるようになり、内容を細かく検証できるようになりました。昔は見逃されていた怪しい部分が、今の視聴者にはスルーしてもらえなくなっています。視聴者よりも環境の変化がテレビにとって大きいと思います」

 そんなハード面の環境の変化と近年のコンプライアンスの厳しさも相まって、かつての「電波少年」のような過激な演出のテレビは息をひそめている。