世論を見渡しても、中国と距離を起き、陳水扁総統時代には公然と“台湾独立”を主張していた民進党に近い「自由時報」が習近平談話を断じて受け入れられないという蔡英文の“反論”を大々的に支持したのはもちろん、国民党に近い「連合報」ですら「“一国二制度”は台湾人民が現段階で見たい枠組みではない」、「“一国二制度”という提起にマーケットは小さく、台湾民衆は今回の習近平談話に対して大いに保留的な態度を取っている」(1月7日社説)と指摘している。

 上記のように、今回の談話で習近平が“一国二制度”の台湾方案を探索することを赤裸々に提起したことも台湾サイドを刺激したのであろう。

 香港やマカオとは異なる対台湾バージョンの制度的枠組みをこれから本格的に検討し、協議していくという意思表示であるが、そもそも“一国二制度”という枠組みそのものを受け入れない台湾がそれに応じるとは決して思えない。

 国民党ですらこのアプローチには慎重になるであろう。中国側の“一国二制度”に乗っかる政党が台湾における民主選挙で支持を得られるとは全く思えないからだ。

 少し考えてみたいが、“一国二制度”の台湾バージョンとはどのようなものになるのだろうか。

香港、マカオを見れば
台湾人が受け入れるはずがない

 周知の通り、返還以来この制度が実践されてきた香港、マカオ両特別行政区ではその首長である行政長官が民主選挙によって選ばれていない。必然的に“中国寄り”の、中国共産党の言うことを聞く人物が行政長官を務める制度になっている。

 すでに民主化を実現し、民主選挙を通じて総統を選び、政府の形態を決める政治生活に慣れきっている台湾人は中国大陸はおろか、香港やマカオで実践されている政治制度すら受け入れるはずがない。

 それでは、現行の民主選挙に基づいた政治制度の続行を尊重するのか。そうした場合、台湾政府と中国中央政府の関係はどうなるのか。外交と国防だけは政策を統一し、人民解放軍を台湾に駐留させて、その他の分野に関しては台湾当局にこれまでと変わらない政治を続けさせるのか。