非常事態宣言Photo:Reuters

 ドナルド・トランプ米大統領は、「国境の壁」建設費の拠出を民主党が拒否すれば非常事態を宣言する決意を固めている。その法的根拠についてQ&A方式でまとめた。

非常事態宣言とは何か

 米連邦法に非常事態の定義はない。米国で過去に出された非常事態宣言の大半は臨時措置だった。リンカーン大統領は1861年3月の就任直後、南軍との衝突の危機に直面する中で複数の緊急法令を発布し、敵軍の港湾封鎖、軍隊の規模拡大、人身保護令状の停止に踏み切った。リンカーン大統領の記述によれば、恐らく「厳密に合法」とは言えないものの、議会が閉会中のため独断で行動せざるをえなかった。その後に招集された議会はリンカーン大統領の措置を承認した。

 議会調査部(CRS)の報告書によると、初めて正式な非常事態を宣言したのはウィルソン大統領で、1917年のことだった。第一次世界大戦中の外国人に対する米国籍船の所有権移転を制限した。その次に非常事態宣言を出したのはフランクリン・ルーズベルト大統領だ。大恐慌のさなかの1933年3月に大統領に就任し、金融取引を一時停止するため「バンク・ホリデー(銀行休業)」を発令した。