「区切りだから出た方がいい」とか、「くだらないから出なくていい」とかは余計なアドバイスであって、「出る」「出ない」を自分で判断できてこそ「成人」の値打ちがあるというものだろう。

 さて、当面20歳から「成人」と考えるとして、20歳の人は、「お金」についてどのような知識と意識を持っていたらいいのだろうか。

 20歳は、大学生ならまだ自分でお金を稼いでいないかもしれないが、自分のお金の管理は相当程度自分で行っているだろうから、将来の仕事を考える上でもお金の理解は必要だ。もちろん、既に働いて稼いでいる20歳は、自分のお金をほぼ100%自分でハンドリングできなければならない。

 いずれの「20歳」にもお金の知識は必要だ。近年の優しい親は、子どもの精神的な成長を待ってくれるかもしれないが、お金を通じて関わる社会の方は甘くない。本稿では、20歳の段階で誰もが知っておきたい「お金の知識」をまとめてお伝えしたい。

「投資・運用」だけでないお金の知識

 筆者は、投資を中心とするお金の運用が専門だ。実は、数年前に、「二十歳の君に送る『マネー運用論』」というサブタイトルで「お金の教室」(NHK出版社)という書籍を出したことがある。

 帯には「君たちに損をさせないための本気の授業!」と勇ましい言葉が並んでいるのだが、「20歳の君」はあまり紙の本を買ってくれないので、マーケティング的にはややターゲットを誤った感があった。この本は「運用」に特化しているが、人生にあって「お金」の問題は、狭義のお金の運用に限らない。

 今回は、お金全般にわたる知識と考え方で重要なものを、なるべくコンパクトにお伝えしたい。

 伝えたいポイントは、(1)稼ぎ方、(2)収支の管理、(3)投資の考え方、(4)借金の考え方、(5)金融ビジネスへの理解、の5点だ。それぞれ見ていこう。

【稼ぎ】 自分の「人材価値」を中心に考えよ

 今、既に働いているにせよ、今後に就職を控えているにせよ、大多数の人にとって経済的に豊かな人生を送れるか否かにあって最も大事なのは、自分が何をして働き、どのようにかつどのくらいお金を稼ぐのかだ。

 仕事や職場を選ぶときに最も大事なのは、自分の仕事と職場が自分の「人材価値」にどう影響するかだ。働いて、仕事を覚える事ができ、その仕事の能力を使う機会が豊富にあって、例えば転職する際に自分の価値が高く売れるようになる仕事と職場がいい。