新年に中国で注目された
台州市初の「故意殺人罪」判決

 そんなことを考えたのは、新年早々、中国のメディアが、半年前に中国の浙江省台州市の裁判所で言い渡された、ある「故意殺人罪」の判決を取り上げていたからだ。

 記事によれば、被害者は冷という中年の女性。被告人はその夫と長女、そして長女の配偶者、つまり婿の3人だ。

 難病で長年苦しんだ女性は、転倒による骨折で寝たきりの状態に陥ったのを苦にして、自殺を決意。3人はそんな女性の苦しみを見かねた上に、長年の看病に心身ともに疲れたこともあり、女性の意思に従って殺鼠剤を購入して女性に渡した。

 3人がひざまずいて声を上げて泣いている中、女性は殺鼠剤を飲んだ。その後、車で市内を回りたいと求めた。婿の運転で車が市内を回っているうちに、女性は息を引き取ったという。

 この事件で3人は、中国の現刑法にのっとって故意殺人罪に問われた。台州市で初めての事件だっただけに、判決は注目された。結果、裁判所は、被告人3人が長い間、資産を使い果たした上に借金までして献身的に看病したこと、そして女性自らが死を選んだなどの事実に鑑みて、3人にそれぞれ執行猶予つきの懲役2~3年の判決を言い渡した。

 高齢化社会の大きな課題の1つがこうして浮き彫りになったのを見て、伊豆半島の会議で聞いた講演が、私の心に重くのしかかった。そして、人生の終着駅を選ぶ権利と、自由を保証されるべきだという提案の重さも再認識した。

 近年、中国でも「死亡質量」という聞きなれない言葉が聞かれるようになった。そして、エコノミスト誌とシンガポールのLien 財団と協力して行った「 QOD(Quality of Death、死の質)指数」が注目されている。